君の言葉で話したい。
「もう終わりにしよう。」
そう切り出したのは、
何度目の話し合いの時だったか。
蒼太から鈴に持ち掛けた。
「蒼太…。」
「早く行って。もう顔も見たくない。」
俺の言葉、全然響いてなかったし、
もうわかったよと、
泣きながら言う。

「ごめんね。私…。自分勝手で。」
「本当だよ。」
蒼太は無理に笑顔を作って、
今までありがとうと、
カラカラに乾いた声で呟くと、
鈴に背を向けて、
歩き出した。

いつから噛み合わなくなっていたんだろう。
付き合い初めの頃は、
蒼太と将来一緒になると、
信じて疑わなかった。

段々と蒼太越しに未来を見られなくなって、
こんなことになってしまった。
自分の勝手な気持ちで、
あんなにも優しかった、
蒼太を傷つけた。

この記憶は鈴にとって、
あまりにも重く、
辛いものとなった。

誰かと別れる時に、
こんな思いをするくらいなら、
誰とも付き合わない方がいい。

涙を流しながら、
小さくなっていく蒼太を、
見送った。
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