君の言葉で話したい。
10話 雨泽
意気消沈の中、
数ヶ月が過ぎた頃、
雨泽が一人で来店した。

鈴の勤務が終わるまで、
待つと言う。
手元には以前とは異なった、
彩りの花束を手にしており、

それが自分に向けられたもので、
あることは一目瞭然だった。
その日、鈴は釣銭を数え間違えて、
店に損害を出してしまい、
マスターに責められはしなかったものの、

精神的に限界を迎えていた。
雨泽を追い返す気力も無く、
業務後に声を掛ける。
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