俺がお前を夢の舞台へ
私の質問に、勇翔は答えてくれなかった。


淡々とグラウンドから出ていこうとする。


「待ってよ…っ。蒼空はどうなるの…っ?」


ザワザワと木々がさざめく。


温かいはずの3月の風は、真冬のように冷たく痛かった。


「さぁな」


勇翔の声も冷たく聞こえた。


淡々としていて、あぁそれが勇翔と蒼空の関係性なんだな、と思わせられる。


「冷たいね、勇翔は」


目の前で蒼空が倒れたのに。


苦しそうに心臓を押さえて倒れたのに。


意識を失って、運ばれていったのに。


「私は…心配で心配でたまらないよ…」


すごく苦しそうだった。


このまま意識が戻らなかったらどうしようって考えると、不安で不安でたまらない。
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