隣の不器用王子のご飯係はじめました
「何話したら良いのかわからないからさっさと断って諦めさせようなんて、勇気を出してくれた人に対してずいぶん酷いことしてたんだな。今になってやっとわかった」
「遠坂くん……」
「今度から、ちゃんと相手の気持ちに向き合って自分の意思を丁寧に伝えるようにしないと。あ、でも彼女がいるってなったら告白されることも少なくなるかな」
遠坂くんのそんな言葉に、心臓がどくんと跳ねた。
「ええあ、あの、彼女っていうのは……私のこと……ですか……?」
「えっ、違った?ごめん、俺もしかして何か勘違いしてる?」
「し、してない!」
好きだと言ってもらえて、自分の気持ちも伝えたことですっかり満足してしまっていたけど……。
そうだよね、お互いに好きってことは──
「わ、私が遠坂くんの彼女ってことで、いいのかな……?」
言いながら恥ずかしくなって、私はつい下を向く。
そんな私のことを──遠坂くんはまたしても、ギュッと抱きしめた。