隣の不器用王子のご飯係はじめました
「ごめん……今のは小野山さんが可愛すぎて我慢できませんでした」
「なっ……!」
「これからよろしくお願いします」
腕の力を緩めてそう言う遠坂くん。
「はい……こちらこそ」
まっすぐ目を見ることはできなかったけど、どうにかそう答えることができた。
その後でゆっくり彼の顔に視線を向ける。
遠坂くんは、私の料理を食べてくれている時みたいに、明るく、嬉しそうな表情をしていた。
「……やばい。俺、嬉しすぎて今夜眠れないかも」
ああもう、ずるいなあ。
私、いつもはクールな遠坂くんが、こうやって可愛い表情をする瞬間に弱いんだよ。
──ずっと片思いだと思っていた人と、この日私は恋人同士になりました。