片翼を君にあげる②

《君が初めてだよ。
ようやく巡り逢えた、最高の器》

「!!ッーー……触んなッ!!」

手を伸ばされて、咄嗟に危険だと感じた。
俺はすぐさま距離を取ると、身構えて天使を睨み付けた。

……けど、ヤバい。
俺の本能が、どれだけ全力で足掻こうが無駄だ、と悟っている。
こいつの能力(ちから)を前にしたら、俺の抵抗なんて時間稼ぎにもならない、とーー。

冷や汗と身体の震えが止まらない。
すると天使は、やれやれ、と言った様子で薄い笑みを浮かべたまま俺から離れ、椅子に座った。

《そんなに身構えるな。
何も無理矢理に君の身体を奪おうなんて思っていない。それに、それが出来るならばもうやっている》

確かに。こいつ程の能力(ちから)があるなら、その気になればとっくに俺の自由を奪って"器"を手に入れているだろう。
なのにそれをしないと言う事は、そう出来ない事情があるに違いない。

でも、だからと言って油断は出来ない。
気を緩めず身構えたままでいると、天使は続けた。

《無理矢理奪う方法も無くはないんだけど、かなり強引で互いに体力も精神力もすり減らす事になるだろうから、出来れば穏便にすませたい。
……つまり、私は君と契約をしたいんだ》

「……契約?」

《私は君が、私の能力(ちから)を心から望んでくれたら、君の中に入る事が可能なんだ。
私は君に力を貸す。その代わりに、君は私に身体を貸す》

「……」

《悪い条件じゃないと思うよ?
ほら、君は今あれでしょ?君の世界で、下剋上とか言うやつに勝たなきゃならないんだろう?》

「!っ、何で……」

《それくらい分かるよ。
そして君は、その為に能力(ちから)を欲して、ここに来た》

「欲した訳じゃ、ない。っ……ただ、知らなきゃ、って……」

《でも、欲しいんでしょ?好きな()を助ける能力(ちから)が》

「っ……」

図星で、何も言えなくなる。
すべて見透かされて、いた。

けれど、このまますんなり受け入れるのは何か引っかかって……。俺は質問する。
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