聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
 そう言ったものの、ズルズルと先延ばしにしてしまい予約の電話すら入れないうちに十弥の帰国の日を迎えてしまった。

「おかえりなさいませ、副社長」

 玲奈は席を立ち、彼を出迎えた。彼は玲奈の前までゆっくりと歩いてくる。

「あぁ、ただいま」

 以前と同じ美しい笑み。だが、玲奈を見つめる彼の眼差しがやけに甘く柔らかいものに変わっている気がして……玲奈の心臓は大きく跳ねた。ドギマギして、思わずぱっと顔をそむける。

(いやいや、自意識過剰だから)

そう自分に言い聞かせたが、一度意識してしまうとかえって気になってしまう。

(なんか、いつもより距離が近くない?)

 肩が触れ合うほどの距離に彼は立っている。これまでの距離感とはあきらかに違う。これは玲奈の勘違いではないだろう。
 十弥は玲奈の手を取ると、包装紙に包まれた小さな箱を玲奈の手のひらにのせた。赤い包装紙には英国の有名ブランドのロゴが踊っている。

「なんでしょう?」
 きょとんとした顔で玲奈が彼を見あげると、彼はふっと頬をゆるめた。やっぱり……この笑顔は以前とは違う。ビジネスの場では決して見せない、彼のプライベートな表情に玲奈はどうしていいのかわからなくなる。

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