聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「土産だ」

 ということは、この箱の中身はチョコレートかなにかだろうか。このブランドは服飾ブランドだと思っていたが、土産用の菓子も展開しているのだろうか。

「あ、ありがとうございます。秘書室のみんなといただきますね」

 玲奈が言うと、十弥は軽く顔をしかめた。

「職場への土産は別に用意してある。それは君ひとりのものだ。中身はキーケースだから分けられないし」
「キーケース?」

 玲奈は驚きの声をあげた。このブランドのキーケースなら間違いなく数万円はする。秘書への土産に使う金額ではないだろう。

「もらえません、こんな高価なもの。だいたい、お土産ならお菓子とかほかにも」

 ブランドの小物なんて、まるで恋人への土産のようじゃないか。十弥はそういう感覚がズレている人間には思えないのだが……玲奈は探るような目を彼に向ける。

「職場の人間への土産じゃない、君への土産だ」

 彼の言いたいことがさっぱりわからない。しばしの沈黙のあとで、彼は話題を変えた。
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