聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「別に迷惑ではなかったが、君があそこまで酒に弱いとは知らなかった」
「その……気を遣われるのが嫌なので、できるだけ内緒にしているんです」

 真実は少し違う。一滴も飲めない下戸だなんて、クールな強い女という自身のキャラに合わないからあまり公にしたくないのだ。社内の飲み会なら『薬を飲んでいるから』、接待なら店員に根回ししてアルコールを抜いてもらうのだが、先日はやむを得ない状況になりあきらめた。

「もう外では一滴も飲むなよ」

 苦笑混じりに言われ、玲奈は小さくなる。

「はい、そうします」

 やはりとんでもない醜態をさらしたのだろうか。玲奈は不安になるが、十弥は気を悪くしているふうではない。話は終わったはずなのだが、彼はなぜか玲奈のデスクを離れない。

「ほかにもなにか?」

 玲奈は十弥に聞く。効率を重視する彼は必要のない雑談など絶対にしない。ここにとどまっているということは、なにかまだ用件があるということだろう。

「今夜の予定は?」
「え?」
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