聖夜に身ごもったら、冷徹御曹司が溺甘な旦那様になりました
「誘ったのはそっちだ。今さら待ったはなしだからな」

 さぁさぁというシャワーの音がやみ、少し掠れた低い声で彼がささやく。かすみがかったように頭がぼんやりとするのは、酒のせいか、狭い浴室にたちこめる湯気のせいか。水滴がつたう彼の筋肉質な身体の美しさに玲奈は思わずごくりと息をのんだ。

「ちっとも好みではないんですけど、やっぱりかっこいいですね」

 十弥はふんと鼻で笑い、玲奈の腰をぐっと引き寄せた。

「言ってくれるな。今から君の好みを変えてやるから覚悟しておけ」

 しなやかな獣が牙をむく。噛みつくような彼のキスに玲奈の身体は熱くなる。乱暴に口内をかき回され、玲奈は耐えきれずに吐息を漏らす。

「んっ、はぁ」

 その声は浴室内で反響してやけに淫靡に響いた。恋人でもなんでもない彼と裸で抱き合っているというありえないシチュエーションが、かえって玲奈を昂らせていく。

「約束通り、俺が洗ってやるよ」

 十弥はにやりと口角をあげると、玲奈の身体をくるりと回して背を向けさせた。ボディーソープをつけた手で玲奈のお腹をなぞる。

「ひゃあ」

 びくりと大きく、玲奈は背中をそらせた。焦らすようなねっとりとした手つきで彼は背中や脇腹に泡を広げていく。玲奈は軽く振り返って彼を見る。

「あの……手つきがちょっといやらしいんですが」
「この状況でいやらしくするな、は無理がある」

 十弥はけろりとそう返すと、玲奈の頬をつかみ前の鏡を見るよう促した。
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