エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。
◇お見合い


 それから数日後の土曜日の夕方。

 私は購入したばかりのワンピースにパンプスを履いて待ち合わせ場所であるホテルの喫茶店にやってきた。

 喫茶店の中に入り、ウェイターさんに席へと案内されて座った。小鳥遊さんがいないかキョロキョロしていると、低い男性の声が聞こえた。


「……七瀬香澄さんですか?」


 いきなり後ろから声をかけられて肩がビクッと動く。


「えっ、はい。七瀬香澄です……小鳥遊さんですか?」

「はい、小鳥遊です。まずは座りましょうか」

「そうですね」


 小鳥遊さんは「じゃあ失礼します」と言い私の向かい側に座る。


「お越しいただいてすみません。私、小鳥遊千晃(たかなし ちあき)と申します。さくらファミリー総合病院の放射線科で放射線技師として働いています」

「父から聞いてます……とても立派な方だと」

「そうですか……飲み物でも頼みましょうか、七瀬さんはケーキはお好きですか?」


 メニュー表を指さして小鳥遊さんはそう聞いた。


「はい、好きです」

「良かった。じゃあケーキセットにしましょう。飲み物はどうしますか?」

「じゃあ……えっと、アイスミルクティーで」


 彼は店員さんをベルで呼んでケーキセットを二人分頼んだ。小鳥遊さんも甘いものが好きなのかな……飲み物もカフェラテだし。


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