エリート放射線技師は、ウブな彼女をたっぷりの溺愛で甘やかす。


「香澄! ごめん!」

「千晃さん。私もすみません……」


 千晃さんは、白衣にスクラブを着ていて急いで来たからか白衣が乱れている。そんな彼もかっこいいなぁって思ったり……。


「香澄は悪くない、本当ごめん!」

「いえ、大丈夫です。あ、これ軽食です。簡単なもので申し訳ないですが……」

「嬉しい、ありがとう。これで夜勤頑張れる。でも送れないんだ。タクシーで帰ってもらっていい?」


 そう千晃さんは言うと、新本さんが「俺が送るからだいじょーぶ」と彼の肩をポンと叩いた。

 千晃さんと別れた後、新本さんは本当に車で私を送ってくれた。


「お疲れ様、じゃあね。七瀬さん」

「ありがとうございました、お疲れ様です」

「……そうだ、七瀬ちゃん。小鳥遊さ、エビフライが好きなんだよね」


 車から降りようと思った時、新本さんは私にそう言った。


「え? エビフライですか?」

「うん。明日作ってあげなよ、喜ぶよ」


 新本さんに「はい、降りて降りて」と言われ車から降りた私は部屋に戻った。

 エビフライかぁ……明日買い物行こうかな。






  
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