西岡三兄弟の異常な執着
18時過ぎに、三兄弟が帰ってきた。

行きと同じように、今度は玄関で出迎える。
「「「「「おかえりなさいませ」」」」」

ガチャと開くと、朱雀が駆けてきて花苗に抱きついた。
「花苗~ただいま~!」
「うー苦し……」
朱雀と花苗は、身長差があるので花苗は朱雀の胸に顔が埋まるのだ。
もぞもぞ動いて、顔を上げる。
「おかえりなさい!」
と言うと、今度は額やこめかみにキスで責め始めた。

「んー花苗、寂しかったよぉ……」
「フフ…くすぐったよ…それに、恥ずかし…」
「ほら、行くぞ!」
黄河が声をかける。

「はーい」
少し不本意そうに返事をする朱雀だった。
「黄河さん、真白くんもおかえりなさい!」
「あぁ、ただいま!」
「ただいま、苗!今日はダーツの相手して?」
黄河と真白がそれぞれ、花苗の頭をポンポンと撫で中に入った。

夕食を準備し四人が食べてダイニングを去った後、片付けて明日の下ごしらえなどを行う。

そして一日の仕事が終わった。

使用人室では、五人はぐったりしていた。
「ほとんど見てただけなのに、疲れた……」
「そうね。水樹さん、今朝は大丈夫でした?」
斉藤に声をかけられる。
「足がガクガクだった…」
「私達でさえ、怖かったから」

「でも、酷いわよ!召使なんて!」
「確かに!」
山田と塩見が、少し声を荒らげた。

「…………でもさ、花苗様は外には出ないのかな?」
「え?」
松久が言う。
「私はセレブってよくわかんないけど、普通…買い物三昧じゃない?
他の奥様とか友達とかと、ランチとか!」

「確かにそんな雰囲気全くなかったわね……
それにしても、ラブラブよね!若様と花苗様」

水樹達は、それぞれ色んな思いを巡らせていた。



水樹達が今立っているのは、地獄の門の前。
これから、地獄が始まるのだ━━━━━━

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