西岡三兄弟の異常な執着
面接日。
西岡家に向かった、水樹。

大きな門の前には、門番らしき年配の男性が立っていた。
他にも、二人の女性が待機していた。


「水樹様ですか?」
男性が声をかける。
「あ、はい!」
「三人集まりましたね。こちらへどうぞ」
そう言って案内されたのは、門の脇にある小さなドアだった。

「私達使用人は、正門からはけっして入ってはなりません。
覚えておいてください」
「「「はい」」」
敷地内に入ると、まるで花畑かという程の沢山の花達でいっぱいだった。

「凄い……」
「綺麗…」
「素敵~」
水樹達は、思わず呟いた。
それ程までに綺麗に手入れの行き届いた、広い庭だった。
そして屋敷が見えない。

屋敷に着くまで歩いて10分程かかり、やっと着いたと屋敷を見上げた。
凄いなんてもんじゃなかった。
ここは中世ヨーロッパの城ですか?と言いたげな大きな屋敷がそびえ立っていた。

「こちらの扉は、ご主人様、若様、坊ちゃま、若様の奥様である花苗(かなえ)様の四名様しか入れません。
私達使用人は、あちらのドアからお願いします」
と言われ、また脇にある小さなドアから入った。

内装も言葉にできない高級感があり、水樹達は開いた口が塞がらない。
ドアを入りすぐの部屋に通された。
中には既に二人の女性が待機していた。

「では、こちらで少々お待ちください。
あ、そうだ。
名乗るのを忘れてました。
私は門番の寺門(てらかど)と申します」
一礼して、寺門は去っていった。

そして入れ違いに今度は、若いイケメンの男性が入ってきた。
「初めまして、執事の森宮(もりみや)と申します。
只今から、ご主人様方に会っていただきますので、僕について来てください」
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