西岡三兄弟の異常な執着
「キャッ!!!山田さん!!?」
花苗が口元を両手で塞ぎ、驚いている。

「お前、いい度胸だな」
黄河が山田を汚物を見るように見て言った。
「森宮、花苗を部屋へ連れていって!」
朱雀が森宮に言って、花苗の背中を優しく押した。

「はい、かしこまりました」
「え?もう、やめて!!お願い!!」
「花苗、言ったはずだ!
聞けるワガママと聞けないワガママがあると……
森宮、早く連れていけ!!」
花苗が三人に振り返り懇願するが、黄河に一喝される。
「花苗、後からギュって抱き締めてあげるから、待っててね!」
朱雀が微笑んで花苗の頭を撫で、額にキスをした。

「花苗様、まいりましょう」
優しく腰を抱かれ、扉に誘導された。
そして花苗がリビングを出てすぐ、三兄弟の雰囲気が更に黒く染まった。

「お前、言ってたな。
幼なじみだったら、私も今頃……って。
ほんっとバカだな!!」
黄河がテーブルに足をドカッと上げて、煙草を吸いながら言った。
「うー、なん…で、そのこと……」
山田が頭を押さえながら、三兄弟を見上げた。

「ずーっと見て聞いてたよ。君達の会話」
「え?」
「僕の花苗が“運がいい”って言ってたね。
確かに運命に導かれたけど、僕達は純粋に花苗を愛してんだよ」
朱雀は足を組んで座っていて、膝の上に頬杖をついて山田を見下ろして言った。

「それに!」
「あがっ!!!」
真白が山田に近寄り、頭を踏みつけた。
「苗が消えればいいって言ってたね。
私から真白様を取ったって!
…………いつから、俺はお前のモノになった?
キモいんだよ!?下衆!!
それに、俺の名前まで呼びやがって!」
確かに前に山田は休憩中、使用人室で友人と電話でそうゆう話をしていた。

「「「消えるのは、お前だ!!」」」
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