西岡三兄弟の異常な執着
「も、申し訳…ありま、せん…」
そこで、足を退けた朱雀。

「森宮」
黄河が森宮を呼ぶ。
「はい」
森宮が返事をして、松久の前にドサッと袋を置いた。
「これは貴女が今まで勝手に使用した、花苗様の私物です」

「え?」
「お前、それ全部買い取れ」
「え……」
黄河の言葉に、フリーズする松久。

「当たり前だろ?下衆女が身につけた物を、俺の花苗がまた身につけるなんて、考えただけで気色悪い。
あぁ…また吐き気がしてきた…」
朱雀が気持ち悪そうに顔を歪め、ソファに倒れるように座り込んだ。

「ちなみに、苗の私物って特注ばっかだから!
アクセなんて、朱兄ちゃんがデザインした物ばっかだし!大変だな!総額いくらになるんだろうな?」
「え…そんな……」

「2900万です」
「は?そんなに……?」
森宮の言葉に、息も止まったかのように固まる松久。

「アクセが高いんだろ?朱雀」
「はぁはぁ……うん、僕は既製品なんて贈らないよ。
花苗のアクセは、全部フルオーダーだもん。
しかも皮膚の弱い花苗の為に、素材も限定してるし。
あ、あとこのドレスも、フルオーダーだよ。
この素材も、こだわったんだから」
気分悪そうにしていた朱雀。
呼吸を落ちつけて話し、画像を指差した。

「とりあえず、お前の財産全て差し押さえたから」
黄河の言葉。
「え……?」

「でも全然足りねぇから、家族の財産も差し押さえて、それでも足りねぇんだよ!
どうする?」
「家族……?」
「当たり前だろ?両親や親戚…お前の身内全部に朱雀の部下をやった」
「若様の部下?」
黄河の口から次々出てくる信じられない言葉に、松久はわけがわからなくなっていた。
そこに、松久のスマホが鳴り始めた。

「出ろよ」
黄河に言われ、電話に出る。

「恭子!どうなってるの?
さっきから西鷹組のヤクザが、ここや親戚中の家に怒鳴り込みに来てるのよ!
アンタ!3000万近くの借金があるんだって!?」
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