西岡三兄弟の異常な執着
アンクレットのデザインを決め、ショップに注文し帰路についた。

「おかえりなさい!」
「「「おかえりなさいませ!」」」
屋敷に着くと、いつものように花苗と使用人が迎えていた。
「んーただいま~花苗~」
いつものように、朱雀が花苗を腕の中に閉じ込めるように抱き締める。
「ほら、行くぞ!朱雀。花苗も」
いつものように、黄河が花苗の頭をポンポンと撫で中に促す。
「へーい」
「うん。黄河さん、真白くん!おかえりなさい!」
「あぁ、ただいま」
「苗、ただいま!」
ここも、いつも通り。

しかしここから、いつもと違ったのだ。
「初めまして、花苗様。
杉尾と申します。
本日からよろしくお願いします!」
「あ、貴女が優秀な女性秘書さんですね!
初めまして、朱雀の妻の花苗です!
杉尾さんのこと、黄河さんと朱雀がとても褒めてましたよ!」

松久がクビになったのもあり、杉尾が家政婦の仕事もするようになったのだ。
しかも、森宮と同じで屋敷に住み込みでだ。

「ありがとうございます!
皆様のご迷惑にならないように努めます」
微笑み挨拶する花苗に、杉尾も微笑み返す。

「苗!!!」
「え?」
「早く!!ゲームの相手して!!
“使用人”と必要以上関わらないでよ!
兄ちゃん達も!!」
声を張り上げ、真白が黄河達を急かした。

スタスタと二階に上がっていく真白。
そんな真白の後ろ姿を見ながら、首をかしげる黄河達三人。
「真白くん、何かあったの?
ご機嫌ななめ?」
「よくわかんないの。
今日一日あんな感じなんだ」
「まぁ、少なくとも杉尾を嫌悪してるみたいだ」

不思議そうに話す花苗に、朱雀と黄河が答えたのだった。
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