西岡三兄弟の異常な執着
「うー、また負けた……」
「フフ…買ったぁ!真っ白だぁ!」
何度もリバーシで遊び、一度も勝てない花苗。

「真白くん、少し手加減して?
一回くらい、勝ちたい!」
「えー!!
………じゃあ、朱兄ちゃんの助言OKにしてあげる!
苗、可哀想だし!」
「うん!朱雀、お願い!真白くんに勝ちたい!」
「わかった!」
「俺も助言してやろうか?」
「え!?黄河さん、いいの?」
「あーー!黄兄ちゃんはダメ!!
絶対勝てないから!」
「フフ…可愛いなぁ、真白!
かといって、花苗にも一度くらい勝たせてあげたいしなぁ……
じゃあ…花苗、最初だけ俺が助言してやる。
その後は、夫婦で真白に勝て!」
「うん!ありがとう!」

━━━━━━━━
「花苗、最初はここだ!」
「え?ここでいいの?」
「あぁ」
「了解!」
花苗が黒を置く。

「じゃあ…ここ!」
そして真白が、白を置いた。
それから五手目まで黄河の助言を聞き、後は朱雀の助言を聞きながら真白に立ち向かう花苗。

「うー、負けそう…」
「フフ…花苗、大丈夫だよ?
ここ!置いて」
「え?でも、ここじゃ……」
「僕を信じて!」
不安そうな花苗と、自信ありげな朱雀。
言われた通りに置く。

「クソッ!負けたぁ!!」
「え?嘘!?初めて勝てた!!嬉しい~!!
ありがとう!朱雀、黄河さん!」
嬉しそうな花苗を微笑ましく見る黄河と、頭を撫でながら愛おしそうに見る朱雀。

「真白くんも!ありがとう!
手加減してくれたんでしょ?」
「あ、バレてた?」
「うん!ありがとう!」
「どういたしまして!」
真白も花苗を、優しく見つめた。
リビング内が穏やかになる。

「失礼いたします。夕食の準備ができました。
ダイニングへお願いします」
「━━━━━!!!!」
しかしそこに杉尾が四人を呼びに来て、また一気に真白の雰囲気が黒く圧迫された。
< 67 / 93 >

この作品をシェア

pagetop