西岡三兄弟の異常な執着
「━━━━━//////!!!!」

本当に綺麗な人だ。
西岡三兄弟は、眉目秀麗、文武両道。

特に黄河はなにもかもが完璧で、三兄弟の中でも飛び抜けている。

月明かりに照らされた黄河。
思わず花苗は、見惚れてしまう。

「どうした?
そこ、座れよ」
ドア前で見惚れていた花苗。
黄河が自分の向かいのソファを指差した。

「うん」
ゆっくりソファに向かい、座った花苗。
「こんな遅くにどうした?
朱雀と喧嘩した?」
「ううん。朱雀は、私に気を遣ってるのかな?」
「ん?」
花苗は黄河に、先程の話をする。

「どっちの朱雀も、朱雀。
それはもちろんわかってるよ。
でもあまりにも別人だから……」
「気は遣ってる」
煙草を灰皿に潰した黄河。
組んだ足に頬杖をついて、花苗を見つめた。

「え?」
「そりゃあ、気を遣うだろ?
花苗は、どっちの朱雀が好き?
いつもの朱雀と、キレた朱雀」
「え……それは…」
「いいぞ。正直に言えよ」
フッと笑って、黄河が言った。

「いつもの…朱雀がいい…」

「だろ?
だから朱雀は今まで、頑なに花苗の前でキレないようにしてたんだ。
…………だから俺はそんな朱雀を、尊敬している」
「え?」
微笑んだままの黄河が、そのまま話を続ける。

「俺や真白だって、花苗は大事な女だ。
俺達だって、お前の為ならできる限りのことはしてやりたいと思ってる。
でも俺と真白は、それでも自分を抑え込めない。
俺達の中心は“俺達自身”だから。
でも朱雀は違う。
お前の為に自分を抑え込むことができる。
お前を怖がらせない為に、できる限り穏やかに過ごし、いつも微笑んで過ごす。
自分のことを“僕”と言って、お前を包み込むように愛するんだ」
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