西岡三兄弟の異常な執着
「森宮さんが謝ることじゃないですよ。
皆さん、混乱してたみたいだし……」
花苗が微笑み言った。

「いや、お前が先に説明しておかないからだ!」
黄河の鋭い言葉が部屋に響いた。
「はい、申し訳ありません!」
「ねぇ、今奴等何やってんの?」
朱雀が咥え煙草で、森宮を見上げた。

「使用人室で、待機させてます」

「ふーん、見せろよ!」
フッ…と笑い、真白が言った。
「かしこまりました」
そう言った森宮は、テレビモニターをつけた。
キーボードを操作すると、使用人室が写りこんだ。

「ねぇ、こうゆうのやめよ?」
モニターを見た花苗が、顔を歪めて三兄弟に言った。

「でもね、僕達が仕事でいない時に花苗が苛められたら大変でしょ?」
「元々はその為の、監視カメラなんだから!
苗を傷つけない為なんだよ?」
朱雀と真白が、花苗の顔を覗き込み言った。

そう……
この屋敷全体に、監視カメラが設置されているのだ。

三兄弟と唯一“普通に”話すことのできる花苗。
朱雀の妻だからというのもあるが、朱雀だけでなく黄河や真白からも可愛がられている。
それで沢山傷つけられてきたのだ。
以前の使用人は、黄河達が仕事や真白が学校に出かけている時に、花苗に嫌がらせを行なっていた。

優しく、気の小さい花苗は三人に言えずにいた。
しかしたまたま早く帰ってきた真白が、その現場を目撃し、花苗が苦しめられていたことが発覚したのだ。

それから、三兄弟は屋敷の至るところに監視カメラを設置することにしたのだ。


「では僕は、使用人達の所へ行ってまいります」
森宮がリビングを出ていった。
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