天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

 彼はふたりに名刺を渡して素性を明かし、突然帰国した双子の弟が私と結婚しようとしているのを阻止したいから、協力してほしいと持ち掛けたそう。

 その際、彼は勇悟のことを冷徹で女癖の悪い最低な医者だとさんざん罵ったため、柿田さんと桃瀬さんも、私が幸せな結婚をするためならと、協力することを受け入れた。

「もちろん、絢美ちゃんに幸せになってほしい気持ちはあった。だけどそれだけじゃなくて、協力した見返りにドクターとの合コンまで提案されて……目先の欲に目がくらんだの。本当にごめんなさい」
「私もです……。実は、絢美さんと勇悟さんの様子を見ているうちに、聡悟さんの言い分にはちょっと疑問を抱いていたんです。勇悟さんが絢美さんに向ける視線は甘くて優しいし、彼と一緒にいる絢美さんは本当に幸せそうだし。なのに、合コンのためだって自分に言い聞かせて、おふたりの仲を引き裂くようなことを……」

 柿田さんと桃瀬さんが、そろってうなだれる。ふたりに嘘をつかれていたのは悲しいが、そうさせたのは聡悟くんだ。

 彼女たちが出会いを求めているというのも、私が会社の同僚についてなにげなく話した際のことを、聡悟くんは覚えていたのだろう。

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