天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~

 どうしてそこまで周到に……? もはや、私への純粋な好意で動いているとは思えない。

 勇悟と女性看護師の親密そうな写真を見せてきたのも、私のお腹の子の父親になろうとしたのも、彼にはなにか思惑があるの?

 でも、どんな理由があるにしろ、やり方があまりにも卑劣だ。聡悟くんとも勇悟とも、近いうちにきちんと話し合わなきゃ。

 なんとか今後の方針が固まり気を取り直したところで、今度は私から、柿田さんと桃瀬さんに伝えたかったことを報告する。

「ふたりとも、顔を上げてください。あの、実は私……妊娠していて。午前中、産婦人科に行ってきたんです。だから、今後仕事上でご迷惑をおかけすることあるかも――」
「えっ? にに、妊娠!?」
「きゃ~! おめでとうございます! もちろん、勇悟さんとの子ですよね?」

 暗い雰囲気から一転、興奮気味のふたりが、私に詰め寄ってくる。

「う、うん。まだ、本人には報告できてないんだけど、今夜にでも伝えようかなって」
「ああ、なんだか本当の妹が妊娠したみたいで、感動して涙が……。仕事のことはなんとかなるわ。絢美ちゃんはとにかく体、大事にしてね」
「柿田さん……」

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