天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
私は思わず息をのんだ。まさか、私が話す前から勇悟が知っていたなんて。
「……勇悟に、迷惑はかけない」
予想外の展開に動揺した私は、勇悟がどう思っているのか確かめないまま、気が付けば予防線を張るようにそう言っていた。
《え?》
「あの夜のこと……勇悟は軽い気持ちだったのかもしれないけど、私、うれしかったから。ひとりでもなんとか頑張って育てたいって思ってる。だから――」
《ちょっと待て。なんで〝ひとりで〟なんだよ!》
まくしたてる私をさえぎるようにして、勇悟が声を荒らげた。
その剣幕に圧倒され黙り込んだ私に、勇悟は言い聞かせるような調子で告げる。
《あの夜お前を抱いたのは、遊びなんかじゃない。……ずっと好きだったんだ。絢美のこと》
思いがけない告白に、呆然とする。うれしいのに、信じきれない。
聡悟くんに信じ込まされた、私の知らない勇悟の姿が頭の中にちらつく。
「勇悟……本当に? 院長になりたいからじゃなくて?」
《院長? ああ、そういや親父がなんか言ってたな。けど、そういうのが得意なのは聡悟の方だろ。俺は興味ないよ。欲しかったのは、絢美だけだ》