天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
その日以来、私は総務部に所属しながらも、いつかバイヤーとして商品部に所属することを目標に、勉強を続けてきた。
その努力を間近で見てきた総務部の上司が父に掛け合ってくれたおかげもあり、とうとう来年度から商品部へ異動することが、内々に決まっている。
私の願いが叶ったのは、勇悟のおかげだよ。一番にそう伝えたい彼が、そばにいないなんて……。
そんな虚しさが時々私を憂鬱にさせるけれど、今日も仕事だと気持ちを切り替える。
自宅の最寄り駅から新横浜まで電車に揺られ、駅から徒歩五分の、佳味百花のオフィスが入ったビルに到着した。
所属する総務部は、人事部や経理部などの事務部門が集められたフロアの一番端にある。メンバーは私を入れて三人と小ぢんまりしているが、やる気と活気にあふれている自慢の部署。
今日も彼女たちに元気をもらおうっと。
そんなことを思いながら総務部の島に到着した途端、目をぱちくりさせる。ふたりの同僚は魂が抜けたようにデスクに突っ伏していて、周囲にはどんよりとした空気が漂っていた。