天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
聡悟くんにどう返事をするか決断できないまま日々は過ぎ、焦りばかりが募る中、金曜の夜に聡悟くんから電話があった。
《家族会議の話、ご両親からもう聞いた? 明日の夜、うちでやるらしいんだけど》
「家族会議……?」
私はなにも聞いていないので、ただキョトンとして聞き返した。
《ああ。僕と絢美と、お互いの両親がうちの実家に集まって、僕たちに婚姻届を書かせようって話みたいだ。さすがに気が早いって両親には言ったんだけど、すっかり盛り上がっていて聞く耳を持ってくれなくて……ごめんね、絢美が僕を振る可能性だってあるんだから、ふたりきりのデートで返事を聞かせてもらうつもりだったのに》
聡悟くんはすまなそうに言って、ため息をつく。
「ううん、聡悟くんが謝ることじゃないよ」
とっさにそう言ったけれど、私の中の〝どうしよう〟はますます成長し、胸の辺りを圧迫した。
両家の親が見守る中、用意された婚姻届を前にして、私が『聡悟くんとは結婚しません』なんて言ったら、いったいどうなってしまう?
聡悟くんは深く傷つき、親たちはがっかりするだろう。父たちの友情に亀裂が入る可能性だって……。