天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
どうしよう、私がハッキリしないせい?
そう思って慌てれば慌てるほど、喉が狭くなって声が出せなくなる。
「いいんじゃないか、聡悟。勇悟にチャンスをやっても」
すっかりパニックに陥っていた私の耳に、ふと彼らのお父様の声が届く。
自然とその場の全員がお父様に注目すると、彼は少し居心地悪そうに肩をすくめてみせ、ビールをひと口飲んで語りだす。
「実は私も少し悩んでいたんだ。お前たちのどちらに、大切な病院を継がせるか」
「えっ……?」
とっさに不安げな声をあげたのは、聡悟くんだ。お父様はちらりと彼を見て、苦笑する。
「別に、聡悟に不安要素があるというわけじゃない。お前はよくやってくれている。しかし、こうして勇悟が帰ってきたとなると、やはり親としては迷う。親ばかかもしれんが、お前も勇悟も優秀な息子で甲乙つけがたいからな。そこで、だ。絢美さんの心を見事射止めた方が、次の院長になるというのはどうだ?」
「そんな……!」
聡悟くんの手が私の肩から離れ、彼はお父様に異を唱えるようにテーブルに身を乗り出す。
しかしお父様の方には少しも動じた様子はなく、彼は聡悟くんを諭すように言った。
「兄弟には平等な機会を与えてやりたいと思うのが親心だ。不満があるなら、同じ土俵の上で正々堂々と、結婚相手も次期院長の座も、勇悟から勝ち取ればいい」