天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
聡悟くんは一度悔しそうに唇をかんだ後、あきらめたようにため息をついて立ち上がる。そして、私のそばに跪いたままの勇悟を冷たい瞳で見下ろした。
「不愉快極まりないが、三カ月の間、絢美に近づく権利をやる。しかし、僕だってその間指をくわえて見ているわけじゃないからな。最後に勝つのは僕だ。覚えておけ」
「……受けて立つ」
言葉少なにそう返した勇悟に聡悟くんは忌々しそうな視線を投げ、部屋を飛び出してしまう。
開けっ放しの襖から『聡悟さん、どちらへ?』と尋ねる家政婦の声がしたが、聡悟くんがそれに応じる様子はなく、玄関の戸を荒々しく開閉する音が聞こえた。
「悪いね絢美さん、騒々しい息子たちで」
「いえ……」
やれやれといった感じで私に謝るお父様に、取り繕った笑みを返す。
両家の親たちは、気まずい空気を一掃するように和気あいあいと食事を再開し、勇悟は無表情でボストンバッグを持ち、廊下に出ていく。
「待って、勇悟」
私は思わずその後姿を追いかけ、振り向いた勇悟と改めて向き合う。
呼び止めたはいいけれど、なにを話せばいいだろう。言いたいことはたくさんあるのに、久々の再会に胸が詰まって、なかなか言葉が出てこない。