天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
部屋の明かりを点けると無意識に机に歩み寄り、筆立てや小物入れなどと一緒に並んでいるひとつの写真立てを手に取る。
飾られている写真は、勇悟や聡悟くんと遊園地で初めて顔を合わせた時のもの。当時小学五年生だった彼らに挟まれ、無邪気に笑っている一年生の私だ。
懐かしいな……。
写真をじっと眺めていると、あの日の記憶が自然と蘇ってきた。
『絢美、きちんとご挨拶なさい。お前は将来、このお兄さんたちのどちらかのお嫁さんになるんだぞ』
『はじめまして。梨木絢美です』
お互いの父親同伴で遊園地を訪れたその日、幼い私は将来とかお嫁さんとか言われても、あまりピンときておらず、単純に、今日はこの男の子たちと遊ぶんだ、と思った。
四つ年上とはいえ、彼らも同じような感覚だったと思う。
『よろしくね、絢美ちゃん。僕は貴船聡悟』
『俺は勇悟だ。とりあえず早くなんか乗ろうぜ、せっかくの遊園地なんだから』
顔はそっくりなふたりだけれど性格は全然違っていて、常に優しく接してくれる聡悟くんに対し、勇悟は面倒な子守りでも押し付けられたかのごとく、かったるそうな様子。
私の身長が低いせいでお目当ての絶叫コースターに乗れないことにも、ブーブー文句を言っていた。