天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
『くっそー、絢美がチビなせいで乗りたいものほとんど乗れねー』
『チビとか言うなって勇悟。観覧車ならどうだ?』
『仕方ねーな……』
そんなふたりの会話を聞きながら、私は内心冷や汗をかいていた。小さな頃から高所恐怖症で、観覧車は苦手だったのだ。
しかし、それを初対面の彼らに伝える勇気はなく、恐る恐る観覧車のゴンドラに乗り込んだ。
『見て、絢美。僕たちの街があんなに小さい』
向かいにひとりで座る聡悟くんはゴンドラの椅子に膝立ちになって、窓からの景色に目を輝かせていた。
しかし、見てと言われても私にとっては恐怖でしかない景色だ。早く地上に着いてとそればかり願って、膝の上で握った手をただジッと見つめる。
すると隣に座っていた勇悟が、私の顔を覗いて言った。
『お前、もしかして怖いのか?』
ここで怖いと言ったら、勇悟はまた面倒くさそうな顔をするんだろう。そうは思っても、あまりの恐怖で強がることもできず、私は涙を浮かべてこくんと頷いた。
『うん……高いところ、苦手で』
『んだよ、そういうことは早く言え』
ぶっきらぼうな言葉とともに、勇悟の手が私の手を取り、ギュッと握った。