天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
キスやそれ以上って……嘘でしょう?
でも、こうして写真は存在している。やっぱり、遊園地で桃瀬さんに言われた話は本当だったのだろうか。
勇悟が私と結婚するのは、次期院長になるため。心まで預けてくれるわけではないから、こうして別の女の人と……。
愕然とする私を聡悟くんは同情の眼差しで見つめ、カウンターの下で私の手を握った。
「勇悟を忘れさせてほしかったら、いつでも言って。喜んでその役目を引き受ける」
「役目……?」
「僕が絢美のカラダから、勇悟の痕跡を追い出してあげる」
いつもの優しげな表情が一瞬にして妖艶な色を纏い、手を握っていたはずの彼の手が、太腿の上に置かれる。
スカート越しに伝わる聡悟くんの手のひらの感触に思わず嫌悪感を覚え、私はそっと彼の手を押しのけた。
「だ、大丈夫……。自分で、乗り越えるから」
「強がりだな絢美は。ま、そんなところも魅力的なんだけど」
なんだか聡悟くんがいつもと違う。このまま一緒にいて大丈夫だろうか。
本能的に危険を覚えた私は、途中、母親から電話がかかってきたフリをして、「もう帰らなきゃ」とひとりで店を出た。