天才外科医と身ごもり盲愛婚~愛し子ごとこの手で抱きたい~
聡悟くんの話を全面的に信じたわけではなかったけれど、私はそれ以来勇悟に連絡するのが怖くなってしまった。
勇悟からもぱたりと連絡が来なくなり、誕生日をあんなにも楽しく過ごした記憶は夢だったかのように思えてくる。
お正月、両親とともに年賀の挨拶のため貴船家を訪れると、実家に帰っていた聡悟くんが私を廊下の隅に呼び、『勇悟は相変わらずナースにご執心で、正月返上で病院にいるよ』とあきれ気味に言っていた。
一度は勇悟と生きていくと決めたのに、その覚悟はもはや風前の灯火。
だからといって聡悟くんと結婚しようとも思えず、私は不安定な気持ちのまま、日々を過ごした。
そして、新しい年もひと月目が終わろうとしていた頃。
休日の昼間に聡悟くんからランチに誘われ、明るいオープンカフェで彼と会った。
明るい時間帯で人目もある場所なら、いつかのダイニングバーのように、急に接近もされることもないだろうと安心していた。
「それで、どうかな? そろそろ勇悟に傷つけられた心も癒えた頃かな?」
聡悟くんに悪気はないのだろうけれど、にこにことそんな風に尋ねられると、傷が癒えるどころか、傷口に塩を塗られる気分だった。
そんなに簡単に忘れられたら、苦労はしない。