月とカラスは程遠い
「いや~今日も平和な一日だったな~」
笑顔で話す私に

 「何言ってんの笑 瑠南は今日忙しかったじゃん!!」
りかがつっこむ。

 「そうだよ!遅刻しかけたと思ったら、あんなにかっこいい後輩くんと二人で話し込んじゃって~」
ひめは泰陽くんを気に入ったらしい。

 「連絡先とか交換したの~??」


 放課後に教室で二人とおしゃべりするのは
毎日の日課。

(二年連続で二人と同じクラスなんて運あるな~)

 「瑠南~おーい、聞いてる?」

 「ぼーっとしないでよ~!」

「ごめんごめん、聞いてるよ~」
二人にほっぺを引っ張られながら答える。

(平和だな~天気もいいし、、)
「ん?」

「ねえ。二人とも何?あれ。」
私は窓の外を指さす。

 「「ん?」」

二人も外をのぞき込む。

正門に見慣れない大きな黒い車が二台も停まった。

 「ほんとだ。誰かのお迎え?」

 「いや、にしては多くない?」

ひめの言うとおり車からどんどん人が降りてくる。
十人以上はいるように見える。
がたいのいい男の人たち。
全員スーツのようなものを着ている。

三階にいる私たちからはよく見えない。

 「あ、なんかかっこよさげな人出てきた。」
りかが目を輝かせる。

確かに一人だけすらっとした人が出てきた。
金髪でサングラスをかけている。

「ん?」
私は何かに気づく。

 「どした?瑠南?」
りかが外を眺めたまま聞いてくる

「なんかあの人のこと見たことあるような。ないような」
(けどあんな怖そうな人知り合いにはいない)

 「何それ笑」
ひめが笑う。

腕を組み目を凝らして見てみる。
(う~ん、やっぱり気のせいか、、)

気のせいだ!と思おうとしたその時。
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