月とカラスは程遠い
「待って!!」
思わず叫んだ。

驚いた顔で振り返る泰陽くんに言う。

「さっきじっと見てたのは、ただ、私の名前には
月が入ってるから、、」

泰陽くんは振り返ったまま不思議そうに見つめてくる。

「だから、月と太陽だな~って思った、だけ、、、」
自分と泰陽くんを交互に指さしながら言う。
段々尻すぼみになった私の言葉。

(やっぱ言わなきゃよかった。どうでもよすぎ。)
恥ずかしさでうつむいてしまう。

 「何ですかそれ笑笑」

突然笑い声が聞こえた。

「そんなことであんな深刻な顔してたの?!笑」

びっくりして顔を上げると、すでに彼は近くにいて
私の少し上で笑っていた。
まるで太陽みたいに。


「ぴったりな名前だな、、、」

思わずつぶやいた言葉は
彼の笑い声にかき消された。
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