ファーストソング
5
病院の外にあるベンチまでくると二人に言われ腰をかける。
千冬ちゃんのお母さんは俺の隣に座ったが、千冬ちゃんのお父さんはそのまま立っている。
「それで、話というのは?」
ゴホンと咳払いをすると千冬ちゃんのお父さんが口を開いた。
「あの、千冬ちゃんの外出許可が欲しいんです!」
俺がそう発言するとは思わなかったのか二人とも目を見開く。
そのまま顔を合わせると、こちらに向き直り「どうして、かな?」と呟いた。
「俺、千冬ちゃんに花火を見て欲しいです! 体調がよかったら屋台を一緒に回って、あ、もし難しそうだったら俺が買ってくるから花火だけでも一緒に近くでみたいんです!」
「花火を?」
「はい!」
「どうして、花火なんだい?」
「俺がちゃんとした花火を見せたいからです」
「ちゃんとした花火?」
「ビルとビルの間からとか、音だけとかじゃなくて、目の前の空に広がる大きな花火を見せてあげたいんです」
俺のその言葉に何かを察したのだろうか「ビルとビルの間からや、音だけじゃない花火…」と小さく呟く。
「ねぇ、千冬は花火を見たいと言ったのかしら…?」
「ビルの間から見える花火を楽しみにしてると言ってました。 だからこれはただの俺のわがままなんです。 いつも俺に何かをくれる彼女に少しでも恩返しがしたいんです」
そして彼女の素敵な思い出になるように…。
「そう。 …あなた」
「…」
「数時間だけなら問題ないのよね?」
「…」
「あなた」
「…わかったよ。 ただし千冬を連れ出すには色々と守ってもらうルールがある。 それでもいいかな?」
その問いかけに俺は元気よく「はい! 勿論です!」と返事をした。
千冬ちゃんのお母さんは俺の隣に座ったが、千冬ちゃんのお父さんはそのまま立っている。
「それで、話というのは?」
ゴホンと咳払いをすると千冬ちゃんのお父さんが口を開いた。
「あの、千冬ちゃんの外出許可が欲しいんです!」
俺がそう発言するとは思わなかったのか二人とも目を見開く。
そのまま顔を合わせると、こちらに向き直り「どうして、かな?」と呟いた。
「俺、千冬ちゃんに花火を見て欲しいです! 体調がよかったら屋台を一緒に回って、あ、もし難しそうだったら俺が買ってくるから花火だけでも一緒に近くでみたいんです!」
「花火を?」
「はい!」
「どうして、花火なんだい?」
「俺がちゃんとした花火を見せたいからです」
「ちゃんとした花火?」
「ビルとビルの間からとか、音だけとかじゃなくて、目の前の空に広がる大きな花火を見せてあげたいんです」
俺のその言葉に何かを察したのだろうか「ビルとビルの間からや、音だけじゃない花火…」と小さく呟く。
「ねぇ、千冬は花火を見たいと言ったのかしら…?」
「ビルの間から見える花火を楽しみにしてると言ってました。 だからこれはただの俺のわがままなんです。 いつも俺に何かをくれる彼女に少しでも恩返しがしたいんです」
そして彼女の素敵な思い出になるように…。
「そう。 …あなた」
「…」
「数時間だけなら問題ないのよね?」
「…」
「あなた」
「…わかったよ。 ただし千冬を連れ出すには色々と守ってもらうルールがある。 それでもいいかな?」
その問いかけに俺は元気よく「はい! 勿論です!」と返事をした。