ファーストソング

「え、本当に外出してもいいの?」
「はい。 ご両親からの許可は得てますから」
「でも…」

そういいながらチラっとこちらを見る千冬ちゃん。
不安そうな彼女に向かって胸をはりバシっと胸を叩くと俺は大きく口を開いた。

「俺に任せて! 俺が精一杯セスコートするから!」
「はは、頼もしいですね。 ですが千冬ちゃん、少しでも体調がすぐれないようでしたらすぐに休んでくださいね」

千冬ちゃんはその言葉を聞いて笑顔で「はい!」と答えた。
その表情がとても綺麗で可愛くて、精一杯楽しませてあげたいと思った。

千冬ちゃんの歩幅とスピードに合わせてゆっくりと歩く。

「私お祭りなんて初めて…。 ねぇ! 屋台でご飯食べて言いってお小遣いもらったの! 何があるのかな?」
「うーん。 花火までの時間は人が多いからなぁ。 一回どれくらいいるか見てみて大丈夫そうだったら屋台を見てみよっか!」
「無理そうだったら?」
「明日も屋台だけはやってるから、俺が屋台ご飯買ってくるよ。 それでいいだろ?」
「うーん。 そうね、無理するよりはいっか! それに食べれるし!」
「じゃあ一旦見てみようぜ!」

俺はそういうとゆっくりと手を引きながら屋台がある場所へと向かった。
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