幼馴染 × 社長 × スパダリ

夕食が終わり、私とお義母さんが片づけをしていると、涼ちゃんとお義父さんは久しぶりにお酒を飲んでいた。
仕事が忙しい涼ちゃんは、めったに実家に帰らなかったようで、お義父さんはとても嬉しそうだ。


「お義父さん、嬉しそうですね。」

「そうなのよ…可愛い一人息子が大人になったら、一緒にお酒が飲みたいって昔から言ってたわ。」

「うちの父も、昔、言っていました…うちは息子がいなくてつまんないって…きっと今、生きていたら、涼介さんを付き合わせて飲んでいると思います。」


お義父さんと涼ちゃんを見ていると、自分の両親を思い出す。胸がギューッと痛くなるけれど、昔の楽しかった時間も蘇ってくる。
二階堂家と月岡家は、何かあるごとに一緒に喜んだり悲しんだりしていたのだ。
昨日のことの様に感じる。


「ねぇ、私達は美味しいケーキの時間にしない?」


お義母さんは、人差し指を口に当てると、“ナイショ”とウィンクしながら、美味しそうなイチゴタルトを取り出した。
イチゴの上に雪が積もっているように、お砂糖が振りかけてあり、とても美味しそうだ。

イチゴタルトをフォークで一口食べてみると、甘すぎず、濃厚なミルクの味が最高に美味しい。口角が自然に緩んだ。


「萌絵ちゃん、美味しい?」

「すっごーく美味しいです。」

「良かったわ、萌絵ちゃんが笑ってくれて…」


お義母さんは、私を心配してくれていたようだ。
その優しさに、心がホカホカと温かくなる感じがする。


< 58 / 71 >

この作品をシェア

pagetop