幼馴染 × 社長 × スパダリ
授賞式
朝、会社に着くと、今日はなんだか、社内がザワザワと騒がしい。
「二階堂社長!大変です!社長の作品がブルック賞にノミネートされましたよ!」
朝一番で大きな声をあげたのは、相崎室長だ。
ブルック賞とは、世界の2大建築家の賞として有名な賞だ。
涼ちゃんは、これまでも2回ほどノミネートはされているが、受賞はしていない。
しかし、日本人でノミネートはされたのは涼ちゃんだけだ。
とても凄いことなのだ。
しかも、今年は涼ちゃんの作品が有力候補と言われている。
相崎室長は少し興奮気味だ。
「二階堂社長、授賞式のシカゴに飛びますよね?」
まわりが皆、興奮しているが、涼ちゃん本人は落ち着いているようだ。
「…そうだな…萌絵、一緒に授賞式に行くか?」
涼ちゃんは、私に一緒に行こうと言ってくれるが、噂ではとても華やかな授賞式と聞いていたので、躊躇してしまう。
(…ちょっと苦手かも…)
「二階堂社長…私は日本で待っていたいのですが、よろしいでしょうか?」
相崎室長にも、妻が授賞式に行くのは当たり前と言われたが、気が進まない…。
もちろん、涼ちゃんの受賞を近くで見ていたい気持ちはあるが…
ハリウッド女優も、授賞式に来るほどだ。
とても華やかな授賞式だろう。
しかも、私は恥ずかしい話ではあるが、英語はあまり得意ではない。
日常会話も難しいほどだ…。
結局、今回は涼ちゃんと相崎室長が授賞式に行くこととなった。
小柳さんは、一緒に行くことで、私に心配をかけたくないと、気遣いをしてくれて、シカゴ行きを辞退してくれたそうだ。
小柳さんの心遣いには頭が下がる。
…出発当日…
私は家で涼ちゃんを見送ることになった。
「萌絵、行ってくるよ…俺が居ない間、戸締り気を付けろよ…」
「うん。…涼ちゃんも気を付けて行ってきてね…」
涼ちゃんは、私を抱き寄せて、おでこにキスをした。
顔が熱くなるのが分かる。
「なるべく早く帰るよ…唇にキスは帰った時に取っておくよ…」
私は車に乗り込んだ涼ちゃんを、見えなくなるまで見送った。
なぜか分からないが、胸のあたりがザワザワと、変な胸騒ぎがする。
こんな予感は、当たって欲しくない。