無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜



リナ先輩は「その言葉を待ってたわ」とご満悦な様子で微笑み、俺にカゴを押し付けてくる。

重くわないけど、めんどくさい……。



「今日は静香と一緒に帰るの?」

「……いや、普通に無理ですよ」



なんでそんなことを聞いてくるんだ?

俺の部活が終わるのは最終下校時刻の18:30。そんな時間まで、静香先輩を待たせるわけにはいかない。



「あの子今日図書委員でしょ?」



え……。



「そうなんですか?」



知らなかった……。

ってことは、終わる時間は同じか。

なら、一緒に帰れるかも……。



「あからさまに嬉しそうな顔……あんなに冷たい態度とってたくせに、すっかり骨抜きね〜」



嫌味を混ぜてそう言ってくるリナ先輩に、反論できない。



「……反省してます」



俺が冷たくしていたのは事実だし、それは消えない。

だから……その分もこれから、優しくしたい。

もう絶対に、あの人を傷つけたくないから。

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