無自覚な恋人。〜俺しか見ないで、センパイ〜




こんな人が自分の恋人を狙っているなんて、厄介極まりない。



「静香ちゃんは同意してくれたよ」



その言葉が、決定打になった。



「……まあ、するでしょうね」




静香先輩が、嫌だと駄々をこねるわけがないから、まあわかっていた。

これ以上俺が我儘を言えるはずもなく、視線を下げた。



「和泉だって、適当な気持ちで部活やってるわけじゃないでしょ?」

「……はいはい。わかりましたよ……」



俺はそれだけ言って、部室を出た。



「そういうことで、よろしくね」



出て行く寸前、耳に入ったキャプテンの楽しげな声に、ため息がこぼれた。

キャプテンとしては、尊敬してるけど……

頼むから早く、引退してくれ……。

< 39 / 94 >

この作品をシェア

pagetop