離婚するので、どうぞお構いなく~冷徹御曹司が激甘パパになるまで~
 緊迫した空気の中彼の反応を待っていると、彼は怒るでも、諦めるでも、反論するでもなく、そっと優しく私を抱きしめた。
 そして、今度は弱ったような声で、耳元で囁く。
「言っておくけど、慰めのハグとかじゃないからな」
「え……」
「どうしたらいいか、俺も分からない。分からないけど、今花音を離したくない……」
 それが彼の本心なのかどうかは、私には分からない。
 だけど今、どうしようもなく泣きたくなってしまうのは、どうして。
「言葉にできないほど、花音が愛しい」
 切実な言葉にじわっと目頭に浮かぶ涙を必死に堪えながら、私は彼を憎むことでしか、もう自分を保っていられなかった。

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