俺様御曹司は無垢な彼女を愛し尽くしたい

お昼ごはんを食べる頃には貧血もだいぶ治まっていた。
トイレに行くとナプキンにはほとんど血は付いていない。

奈々は近所の薬局へ出向き、妊娠検査薬を買った。これで何度目の購入だろう。何種類かあるうちの、生理予定日から使える早期妊娠検査薬を選んだ。

どうかこの出血が着床出血でありますように。
どうか赤ちゃんがいますように。

祈る気持ちでトイレに入る。

小窓に縦線が浮かび上がったら陽性だ。
奈々はじっと見つめる。
すぐに判定結果が出るはずなのに、とんでもなく長い時間に感じられた。

じわじわと試験紙に染みていく過程を目で追いかける。小窓に到達すると奈々の心臓がきゅっと音を立てた。

小窓の真ん中に赤い線が薄く浮かび上がる。
それはすぐに濃い色へと変化していった。

陽性反応だ。

奈々は手が震えた。

幻じゃないだろうか。
数分したら消えてしまうのではないか。

しばらくトイレから動けなかったが、その縦線が消えることはなかった。

「……私、妊娠したんだ……?」

じわじわと喜びが体を駆け巡る。
この喜びを夜まで我慢することはできなかった。
奈々は電話をかける。

「……祐吾さんお仕事中ごめんなさい」

「どうした?体調悪いのか?」

震える奈々の声に、祐吾は焦りを覚える。
やはり一緒に休めばよかった。
そんな後悔すら感じたのだが……。

「ううん、あのね、私、妊娠したみたいなの」

奈々の言葉にやはり一緒に休めばよかったと後悔をした。

「……すぐ帰る!」

奈々が話を続ける前に電話はぷつっと切れた。

それから本当にすぐ祐吾は帰って来て、再度貧血で寝ていた奈々は驚く。すぐに妊娠検査薬を見せると、祐吾の端正な顔がくしゃっと崩れた。それにつられて奈々も胸がいっぱいになる。

これからどんな未来が待っているのだろう。
どんな明日を描いていくのだろう。

胸膨らませながら、二人の物語はこれからも続いていく。


【END】
< 112 / 112 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:190

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
*** コミカライズしていただきました。 2024.7.17 まんが王国にて先行配信 改題:偽装婚〜この溺愛、本物と勘違いしそうです〜 *** 自分の置かれた境遇に 不満がないと言ったら嘘だけど…… それでも仕事をしているときが一番楽しくて ここで働かせてもらえていることを ありがたく感じている そうやって小さな幸せを大事にしてきた 幸山やえ《さちやまやえ》(25) 「俺と結婚しよう。素直に頷いておけ」 ひたひたと心に侵入してくる若き社長 久賀智光《くがともみつ》(30) 優しさに溢れる恋を、あなたに――。
癒やしの小児科医と秘密の契約

総文字数/102,033

恋愛(オフィスラブ)120ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大好きな佐々木先生がお見合いをするって言うから、ショックすぎて……。 酔った勢いで思わず告白してしまった。 「絶対先生を振り向かせてみせます!」 そう宣言したものの、どうしたらいいかわからずひたすら「好き」と告白する毎日。 「仕事中だよ」 告白するたび、とても冷静に叱られています。 川島心和(25) 小児科の看護師 × 佐々木俊介(30) 小児科医
腹黒上司が実は激甘だった件について。

総文字数/31,884

恋愛(オフィスラブ)63ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop