王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
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 診察をして無傷なことが分かり黒龍殿に戻ったシルディーヌは、団長部屋のソファでお茶を飲んでいる。

 アルフレッドは王太子殿下と一緒に尋問中だ。

 ここに着いて早々にフリードの報告を受けたアルフレッドが、ワイバーンから鬼神化していったのを目撃してギョッとするも、これがアルフレッドよねと納得していた。

 留守の間にスパイが入り込んでいたのだから、無理もない。しかも自分の弱みを探られていたと知れば、余計に気分が悪いと思う。

 ペペロネとキャンディも一緒に押し出されたので、フリードは事情聴取をしたと報告していた。

 リックは馬車が近づいたタイミングを計ったように、シルディーヌたちの背中が押されたようだと話していた。シルディーヌが飛んだのを見たが、咄嗟に一番近くにいたキャンディの体を受け止めたらしい。

 ポートマスは逃げる影を発見して、すぐさま駆けだしたという。多分アルフレッドもその影を見たと思う。

 押されたのはシルディーヌだけではないから、影は複数人いたと思うのだけど、捕まえたのはひとりだけ。男性だと聞いた。

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