王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
正体不明の影に襲われて、『怖いわ』というシルディーヌの頭を、アルフレッドはぽんぽんと撫でた。
『心配するな。俺が全部吐かせて解決してやる。俺を敵に回すとは百万年早いと、やつらに思い知らせてやろう』
アルフレッドは悪魔的な顔でニヤリと笑い、『だからお前はここで座ってろ。俺が戻るまで部屋から一歩も出るな』と言い残し、足早に出ていった。
留守の間はアルフレッドの身が心配でたまらなかったのに、戻ってくると、どんな敵が相手でも平気だと思えてしまう。だって、とてつもない安心感というか、強大なパワーを感じるのだ。
外を見れば、もう日が傾きかけていた。いつもならば、間もなく仕事が終わる頃だ。
全てを告白させるなら時間がかかるだろう。シルディーヌの足りない考えで、あれこれ想像するのは止めようと思う。
気持ちが落ち着いてくると空腹を覚え、フリードがくれたお菓子をつまんで口の中に入れた。
「おいしいっ。これはどこのお菓子かしら? お茶も美味だわ」
実はお茶もフリードが入れてくれたものだ。シルディーヌが味わったことのないフレーバーを感じる。