王宮侍女シルディーヌの受難2ー短篇-
『すみません。まさかあんな形で攻撃を受けるとは、予想もしていませんでした。まだまだ考えが甘いと思い知りました』
謝罪の意を込めました。どーぞお飲みくださいと、運んできてくれたのだ。ペペロネに話したらきっと驚くし、羨ましがるだろう。内緒にしておくべきだと思う。
ぱくっと二個目のお菓子を口にした時、部屋の扉がスッと開いた。
──もう戻って来たのかしら。
もぐもぐしながらそちらを見たシルディーヌは、カチンと固まった。
──え……? どうして?
「あら、狙われたっていうのにお茶を飲んでますの? のんきなものね」
そこに立っているのはアルフレッドではない。少し大きめの団服を着た女性……?
「カメリア……と、ガスパル?」
あまりに信じられないことが起こっていて、まるで現実感がない。
シルディーヌはキョトンと二人を見つめていた。どうして新入団員のガスパルが、変装したカメリアと一緒にいるのだろう。
「というより、どうやって入ったの?」
今日は騎士団員が勢ぞろいしているし、いつもと変わらずに入口には警備員がいる。