僕の家族になってくれてありがとう
「そういえば、本屋さんで何を買ったの?」

ソファの上には、翔が買った本が袋に入ったまま置かれている。翔はよく文庫本を買うが、袋が大きいため文庫本ではないことがわかる。

結衣の問いに、翔は顔を赤くしながら頬をかいた。そして恥ずかしそうに口を開く。

「結婚情報誌、買ってきたんだ。結婚式場とか二人で決めようよ」

結婚式という言葉に、結衣の胸が高鳴る。壱成の時には出ることのなかった単語だ。結衣は大きく笑顔で頷いた。

皿洗いを済ませた後、ソファに座って二人で結婚情報誌を見る。ウエディングドレスを着た綺麗なモデルさんが表紙に載っているものだ。

「わあ……!」

ページをめくると、綺麗なチャペルや和装の結婚式の写真が次々に現れる。結衣と翔は目を輝かせ、写真を見ながら話す。

「ドレスも着物もどっちも素敵だね!」

「うん。結衣ちゃんならどっちも似合うと思うから、迷っちゃうね」

結局、その日は何も決めることはできなかったが、結衣は翔と未来を作る一歩となる結婚式の話をしていることに、喜びを感じながら婚約指輪を撫でた。
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