僕の家族になってくれてありがとう
また続きは明日話すことになり、結衣と翔はお風呂に入って寝る準備をする。その時、結衣のスマホが音を立てた。誰かがLINEを送ってきたようだ。

「えっ!?壱成くん……」

誰だろうと結衣がスマホを取れば、表示されていたのは元カレの名前。壱成からは別れた直後からブロックされていたので、一度も連絡を取ることはなかった。噂で結婚したと聞いた程度だ。

今さら何なの、と思いながら結衣が送られてきたメッセージを見ると、体に鳥肌が立っていく。

『なあ、お前ってまだ俺のこと好きだろ?結婚してやるからやり直そうぜ』

あれだけ人を召使いのように扱い、最後には裏切ったというのに復縁要請などふざけている。結衣は返信をせず、ベッドの中に入る。返信をすれば、あの苦しかった日々に戻ってしまうような気がして、怖かったのだ。

「結衣ちゃん、何かあった?」

そう訪ねてくる翔に心配をかけさせないように、結衣は笑顔を見せて「何でもないよ」と言う。そして軽く翔の唇と自身の唇を重ねた。

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