僕の家族になってくれてありがとう
「ごめんなさい!心配をかけたくなくて、言えなかったの……」

このまま捨てられてしまうのでは、という不安から結衣は翔の服の袖を掴む。目の前がぼやけていった。そんな様子を見て壱成は笑う。

「こいつ、お前に俺のことを隠していたんだぜ?秘密にする女なんてすぐ浮気するぞ。そんなの嫌だろ?だったら、早くこっちに結衣を渡せ!」

結衣はギュッと目を閉じ、翔の服をさらに強く掴む。そんな結衣を見て、翔は怒った顔など見せなかった。むしろ、愛おしそうな目で結衣を見つめ、頭を優しく撫でる。

「えっ?」

結衣が顔を上げた瞬間を、翔は決して逃さなかった。結衣の頬を包んで優しくキスをする。壱成に見せつけるよう、何度も。

「結衣ちゃんが僕に秘密にしていたのは、きっと僕に心配をかけたくなかったからでしょ?そんな秘密可愛いもんだし、全然許せるよ。それに、結衣ちゃんのことは相手が誰だろうと手放すつもりはないよ。まあ、君はその相手にすらならないけど」
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