僕の家族になってくれてありがとう
「ここで式をするのすごく楽しみだな。結衣の白無垢姿、きっと綺麗だよ」

「ありがとう。私も、着るの楽しみ」

きっと翔の着物姿もかっこいいのだろう、結衣が想像して頬を緩ませていると、「困ります!どちら様ですか!?」というスタッフの声が聞こえてくる。何だろう、と結衣がそちらに目を向けた瞬間、恐怖で固まってしまった。

「よぉ、結衣。俺の友達からお前がこの神社の中に入って行ったって聞いて駆け付けたんだよ」

二年前よりかなり太って一瞬誰だかわからなかったが、その声は間違いなく壱成のものだ。翔は「は?どういうことだよ……」と驚き、壱成は結衣を指差しながら下品に笑って言う。

「俺は結衣と結婚するんだ!綺麗に掃除されたマンションの部屋でゲームして、結衣の使った飯を食って、友達と遊んで、今度こそ幸せになるんだよ。わかったら、さっさと結衣をこっちに渡せ」

「どういうこと?結衣ちゃん」

翔に見つめられ、結衣はもう逃げられないとスマホを見せる。約一ヶ月分の復縁要請LINEに翔は唖然としていた。
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