苺にはもうなれない

「武岡さんは悪くないです、謝らないでください」

私はまた早口になってしまった。



落ち着いて、ちゃんと言わなくちゃ。
そう思って深呼吸をした。


「あの!」

私は武岡さんの目をじっと見つめ返す。


「恋愛ものが嫌な人というのは、薫おじさんのことで!薫おじさんは照れくさいのか、恋愛映画を観ないんです。……だから、男の人ってみんなそうなのかなって勝手に思ってたんです」

「……店長、だったんですか」

「はい。店長です」


私は真剣に話しているのに、武岡さんは「ふふっ」と笑い始めた。


「あはははっ!」




何故笑っているんだろう?



「いや、ごめんなさい。安心したのかな、可笑しくなってきちゃいました」

武岡さんはひとりクスクス笑ってから、
「あー、でも悔しいな!」
と言った。


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