STRAY CAT Ⅱ
「後悔されてるんです、ずっと。
……1度でも奥様が生きてらっしゃる間に、あなた方姉妹に会いに行かなかったこと」
「………」
「もし、そうしていたら。
未来は何か変わっていたかもしれない、と」
「……お母さんのこと、本気で大事にしてたんですね」
「ええ、とても」
それを聞けたなら、十分だ。
お母さんがただただ苦労してたわけじゃなく、お父さんにちゃんと大事にされていたなら。
きっとお母さんは、後悔してないと思うの。
……わたしたちのこと、心配してるかもしれないけど。
「おねーちゃんっ。おやすみー」
「あら蒔。もう寝ちゃうの?」
「うんっ。ねむくなっちゃった」
カラカラと、窓を開けて。
そう告げる妹に「おやすみなさい」を返す。
「蒔お嬢様、おやすみなさい。いい夢を」
「蒔を部屋まで連れていったら、お風呂に入ってくることにするよ。
黒田、鞠。冷えないうちに部屋の中に入りなさい」
お父さんの言葉に、こくりと頷く。
外は寒いけれど、どうしてか今なんとなく、大人しく部屋に入るような気分じゃなくて。