STRAY CAT Ⅱ



「後悔されてるんです、ずっと。

……1度でも奥様が生きてらっしゃる間に、あなた方姉妹に会いに行かなかったこと」



「………」



「もし、そうしていたら。

未来は何か変わっていたかもしれない、と」



「……お母さんのこと、本気で大事にしてたんですね」



「ええ、とても」



それを聞けたなら、十分だ。

お母さんがただただ苦労してたわけじゃなく、お父さんにちゃんと大事にされていたなら。



きっとお母さんは、後悔してないと思うの。

……わたしたちのこと、心配してるかもしれないけど。




「おねーちゃんっ。おやすみー」



「あら蒔。もう寝ちゃうの?」



「うんっ。ねむくなっちゃった」



カラカラと、窓を開けて。

そう告げる妹に「おやすみなさい」を返す。



「蒔お嬢様、おやすみなさい。いい夢を」



「蒔を部屋まで連れていったら、お風呂に入ってくることにするよ。

黒田、鞠。冷えないうちに部屋の中に入りなさい」



お父さんの言葉に、こくりと頷く。

外は寒いけれど、どうしてか今なんとなく、大人しく部屋に入るような気分じゃなくて。



< 111 / 112 >

この作品をシェア

pagetop